ーバリアフリー外構工事をするときに気を付けるポイントについてー
2023年12月5日
近年スーパーやショッピングモールでは、段差をなくしてスロープを作るなど、車椅子でも安全に行き来ができるように、バリアフリー化が進んでいます。また、新築やリフォーム住宅でも、段差を無くして車椅子が移動しやすいバリアフリー住宅の人気が高まっています。しかし家の外に出ると、玄関から道路に出るまでの道には段差があり、足腰の衰えた高齢者には生活が楽ではありません。こうした障害を無くして、安全に生活できる環境を作り出すのが、バリアフリー外構工事です。この記事では、バリアフリー外構工事で気を付けるポイントについて紹介しています。
バリアフリー外構工事とスロープ
通常は玄関と道路の間には段差があるので、階段が取り付けられています。健康な人では気にならない僅かな段差であっても、車椅子で暮らしている人にとっては大きな障害になります。そのためバリアフリー外構工事では、スロープを作って車椅子に乗りながら安全に外に出ることを目的に、作業が進められます。しかしスロープを取りつければ、バリアフリー外構工事が完成するわけではありません。工事をするときに、車椅子に乗りながら走れるスロープの角度や幅、床の素材などをチェックする必要があります。
車椅子の人が安全に通れるように、スロープの幅を十分に広げることが大切です。日本の家のアプローチ部分は狭いので、1メートルを目安に取り分けると良いでしょう。また、車椅子が脱輪しないように、縁石を取り付けることも重要です。スロープの床に使用する素材は、雨に濡れても滑らないことを前提に工事します。石材やタイルは、雨で濡れると滑る傾向があるので、安全面を考えて濡れても滑らない床材を使用すると良いでしょう。また、コンクリートで仕上げるときでも、表面を滑りにくくすることが大切です。玄関回りのスロープの角度は5パーセント以内に収めることが大切で、家のなかよりも緩やかにして安全性を保たなければなりません。どうしても5パーセント以内では収まらないときには、折り返し地点を設けるなどの対策が必要になります。しかし車椅子に乗ったまま走行することを考えると、5パーセント以内で収めることが大切です。
バリアフリー外構工事では手すりを取り付けられる
足腰が弱ったときのことを考えて、アプローチや階段部分に手すりを設置することも重要です。手すりで体を支えられると安心して歩行でき、階段の昇り降りも楽になります。高齢者であれば、少し転んだだけでも寝たきりになるケースも多いので、バランスを取りやすいように手すりを取り付けましょう。手すりの設置は施工が簡単で、安い金額で済みます。スロープに手すりを取り付けると、車椅子に乗って転ぶことが無くなり、スロープを使ったリハビリも行えます。
バリアフリー外構工事と門扉
古くからある日本家屋の門扉は、車椅子での走行を考えられていません。そのため、バリアフリー外構工事で車椅子でも通れる幅に広げ、軽い力で簡単に開け閉めできるように作り変えることも大切です。通常の門扉はドアタイプが多いですが、車椅子に乗りながらドアを開閉するのは楽ではありません。バリアフリー外構工事によって引き戸タイプに変えれば、軽い力で開閉できるので、車椅子に乗りながらでも便利に使用できます。
バリアフリー外構工事をするときの注意点
家の庭をお洒落にしたり、玄関回りのデザインにこだわったりする人は多いと思います。しかし、バリアフリーの視点から見れば、見かけを良くするあまり段差や障害物が多くなり、床が滑りやすいといった避けるべき事態に陥ることもあります。足腰が弱った高齢者は、僅かな段差でも転倒する危険性があり、急に手をついたところが滑りやすいと、大きな怪我を負う危険性もあります。そのため、手すりを取り付けたり、滑りにくいスロープに整えたり、足元に照明などを取り付けるなど、機能性を考えて外構工事を行いましょう。
介護をする人のことも考える
将来的には親を介護する場合のことも考えて、介護する人が使用しやすいような庭に整えることが大切です。自分で介護するか、介護スタッフに頼むかは決めていなくても、円滑に移動や器具の運搬をすることを考えましょう。介護スタッフに頼むときには、駐車場の場所や、大きめな器具でも出し入れできるように、余裕を持った道幅や、踊り場を取り分けることが重要です。バリアフリー外構工事では、介護する人への配慮も考えましょう。
なお、バリアフリー外構工事でスロープを取り付けるときには、車椅子に乗った人だけではなく、介護する人が安心して使えるように幅や角度を考える必要があります。
バリアフリー外構工事の金額について
玄関回りにスロープを取り付けるだけの外構工事であれば、約10万円から20万円で済みます。手すりが無い、コンクリートで造っただけのスロープであれば、20万円ほどです。しかし、簡易的なスロープなので、実際に使用したときの使い心地は不明です。予算に余裕がある場合は、介護する人が使いやすい設備も合わせて取る付ける方が良いでしょう。もし、スロープと一緒に手すりを取り付けるときには、約40万円から50万円が目安になります。
既存のスロープに手すりを取り付ける工事のときには、手すりの金額に加えて、支柱を支えるために工事を追加で行う必要があるので、金額は約10万円から20万円が目安になります。手すりが長くなれば、それだけ支柱の数が増えるので、金額も高くなります。またスロープに、足元の照明を取り付けるときの金額は、約7万円から10万円になります。スロープに照明を取り付けることを考えている人は、支柱が必要ない足元の照明がおすすめです。照明の金額に加えて、電気工事の金額も必要になり、埋め込み式の照明であれば、埋め込む作業の金額も準備しなければなりません。
バリアフリー外構工事を施工するときには、実際に使う人のことを考えて計画を練ることが大切です。工事を依頼する人と、工事が終わったあとに使用する人の感覚に違いがあると、生活しにくいエクステリアを造ってしまいます。国や自治体の補助金を使えば工事の費用が安くなる可能性もあるので、介護される人と外構業者がしっかりと話し合い、工事を行うことが重要です。
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